目の前にあるのは、冬の寒さの中でもツヤツヤと輝くツバキの枝です。今日のサイエンスαは、ツバキを使って「植物が水を運ぶ仕組み」を探る実験。
「ツバキの花って見たことあるかな?」という先生の問いかけに、「冬でも咲く赤い花だよね」「黄色もあるよ」「いや、白だった気がする」と、子どもたちからいろんな意見が飛び交い、楽しい雰囲気の中講座がスタートしました。
水はどうやって5メートル上まで登る?
まずみんなで考えたのは、植物が水を吸い上げるパワーの秘密です。チューリップのような小さな花ならすぐに水が届きますが、数メートルもある大きな木はどうやって地面の水をてっぺんの葉っぱまで届けているのでしょうか。「5メートルの木の上まで上げるのって、結構大変そうだよね」という先生の話に、子どもたちも「うわ、大変そう」「どうやるの?」と興味津々です。
ここでは、植物が水を運ぶための「3つの力」について学びました。 1つ目は、根っこが水をグイッと押し出す力「根圧(こんあつ)」。2つ目は、水同士が「僕も行く!」「私も行く!」と手をつなぎ合って登っていく「凝集力(ぎょうしゅうりょく)」。そして3つ目は、葉っぱから水が空へ飛んでいく「蒸散(じょうさん)」です。
目に見えない水の動きを、自分たちの体に置き換えて賑やかにイメージを膨らませていきます。
どこから水が出る?「出口」を探す比較実験
次に挑戦したのは、「水は葉っぱのどこから外へ出ているのか」を突き止める実験です。4つの試験管を用意し、それぞれ条件を変えたツバキの枝をセットしました。
A:葉の「表側」にワセリンを塗る
B:葉の「裏側」にワセリンを塗る
C:何も塗らない(葉は3枚)
D:葉を全部取る
ワセリンは、乾燥から肌を守る油のクリームです。「これを塗ると、水は外に出られなくなる邪魔をされることになるよね」という説明を聞きながら、1枚ずつ丁寧に塗り広げていきました。
実験を正確にするために、水面が勝手に蒸発しないよう油で蓋をし、今の水位をセロテープでマークします。 「一番水が減るのはどれかな?」という質問には、「葉っぱが多いCだよ!」「いや、表を塗ったAの方が減るかも」と予想が分かれます。答えが出るのは1週間後。「実験中につき触るな」という札を立てて、大切に保管することにしました。
魔法の液体で、葉っぱを「煮る」!?
後半は、子どもたちが最も楽しみにしていた「葉脈標本(ようみゃくひょうほん)」作りです。使うのは、少し扱いに注意が必要な「水酸化ナトリウム」。先生が慎重に温度と濃度を調整した液体で、ツバキの葉をじっくり煮ていきます。
「見て!お湯がどんどん黄色くなってきたよ」 「葉っぱが茶色くなって、根っこのところがブクブクしてる!」
これは葉っぱの中にある「葉緑素(ようりょくそ)」などの成分が溶け出している証拠です。まるでお茶のような色に変化していく様子を、子どもたちは安全眼鏡をかけてじっと見守ります。「これ、お茶みたいだけど飲んだら大変なやつだね」「じわじわ溶けるって怖い……」と、薬品を扱う緊張感もしっかり共有しました。
歯ブラシでトントン。現れたのは「命の筋」の網目
10分ほど煮て柔らかくなった葉を取り出し、ここからは職人のような手仕事の時間です。水で洗った葉を台の上に置き、歯ブラシの先で「トントントントン」と優しく、根気強く叩いていきます。
「こすると筋まで切れちゃうから、叩くのがコツだよ」という先生のアドバイスを忠実に守り、みんな全集中。緑色の組織が少しずつ剥がれ落ち、網目のような「葉脈(ようみゃく)」だけが浮き上がってくると、「うわあ、網みたい!」「宝石みたいに透き通ってきた!」と、あちこちで驚きの声が上がりました。
最後は、この透き通った葉脈を大切にカードに閉じ込めて完成です。自分たちの手で苦労して作り上げた、世界にひとつだけの標本。「ツバキの筋って、こんなに細かく分かれていたんだね」と、完成したカードを光に透かし、自然が作る複雑なデザインを不思議そうに見つめる姿が印象的でした。
来週、試験管の水位がどう変化しているのか。自分たちの予想が当たっているかどうか、子どもたちは今からワクワクしています。