「今日の実験、何やるの〜?」 教室に入ってくるなり、元気に先生に質問する子どもたち。 今月の理科実験のテーマは「振り子」です。 時計の振り子やブランコなど、振り子はさまざまなところにありますが、実はそこには大人でも「えっ、そうなの?」と驚くような不思議なルールが隠されています。
ナット10往復、何秒かかる?!
今月の主役は、糸の先に「ナット」という重りがついたシンプルな振り子の道具です。まずはこれを正しく揺らす練習から始めました。
「せーの、えいっ!って勢いよく投げたらダメだよ。糸をピンと張った状態で、パッと離すだけ」
先生の説明を聞きながら、子どもたちは真剣にスタートの角度を調整します。糸をたるませないよゆに、一番きれいに揺れる高さを慎重に探っていきます。
今回のミッションは、振り子が10往復する時間を正確に計ること。
「1、2、3……」
ストップウォッチを握る手にも力が入ります。1回だけだと誤差が出るので、3回計ってその平均を出しました。
「12.93秒」「12.75秒」「12.91秒」
驚くほど近い数字が並びました。ここから計算すると、一往復にかかる時間は約1.29秒。
「計算、合ってる!」「お、惜しい!」
算数の授業とは違った顔つきで、興奮しながら計算。目の前の現象を数字で記録することに、みんな没頭していました。
重さを4倍にしても、時間は変わらない?
次に、子どもたちが一番驚いた実験がありました。重りの数、つまりナットを増やしていく実験です。
「ナットを2倍、4倍に増やしたら、時間はどうなるかな?」
「絶対早くなるよ!」「重いんだから、勢いがつくじゃん」
そんな予想を立てて、セロテープでナットをぐるぐる巻きにして重さを増やしていきます。ところが、いざ計測してみると……。
「12.72秒」「13.01秒」
ナットが1個のときと、ほとんど変わらない結果が出ました。
「えー!なんで!?」「4個もついてるのに!」
直感が外れた時の、子どもたちの驚いた表情が印象的です。でも、すぐに「じゃあ角度を変えたらどうなるの?」と次の疑問が湧き上がってきます。振れ幅を15度、30度、45度と変えてみても、結果はやっぱり「ほとんど同じ」。重さも、振れ幅も、往復する時間には関係がないという不思議な事実に、みんな首をかしげていました。
月や宇宙だったらどうなるんだろう
「じゃあ、なんで振り子はだんだん小さくなって止まるんだと思う?」
先生の問いに、子どもたちの想像力が爆発します。
「重さがあるから、下に行きたがるんじゃない?」
「惜しい!答えのひとつは『空気抵抗』。目に見えない空気が邪魔してるんだよ」
自転車で走っている時に風を感じるのと同じ。空気が振り子を邪魔しているという説明に、みんな納得の様子。そこから話は宇宙へと飛び火しました。
「じゃあ、宇宙だったら?」「月の上で机を立ててやったらどうなる?」
「空気が無いから、一生動き続けるの!?」
「手で止めない限り、何年でも?」
「あ、でも隕石に当たったりして!」
南極の話やブラジルの話まで飛び出し、地球の重力、空気の有無、摩擦。普段意識しない「世界のルール」について、自分たちの言葉で熱心に想像を膨らませます。
天井から吊るした巨大振り子で「顔面ギリギリ」チャレンジ
最後は、今日学んだ「物理のルール」を信じられるかどうかの大実験です。
天井から吊るした、これまでにないほど長い紐の大きなな振り子。先生が壁際に立ち、自分の鼻の頭ギリギリのところで手を離します。
「パッと離すだけなら、絶対に最初より高い位置には戻ってこない。つまり、僕の鼻には当たらないはずなんだ」
「こわ!」「絶対逃げちゃうよ!」
見守る子どもたちが固唾を呑む中、振り子が大きく揺れて戻ってきます。
シュンッ……!
鼻の数ミリ手前で止まる重り。
「よし、次はみんなの番だ!」
勇気を出して挑戦する子、あまりのスリルに腰が引けてしまう子。
「逃げちゃダメだよ!」「あぶねっ、鼻の頭にガツンとくるかと思った!」
「ほら、やっぱり当たらないでしょ」
理屈では「当たらない」と分かっていても、迫りくる重りに立ち向かうのは勇気がいります。
「もしこれがハンマーだったら?」「包丁だったら?(※絶対にやりませんが)」という先生のちょっと過激な例え話に、「こわいこわい!」と笑いながらも、振り子の性質をしっかり体感したようです。
最後は、思い切り勢いをつけて投げたらどうなるか(=当然、顔に当たって危ない!)という反面教師的な実験も見せて、今日のプログラムは終了。
「なんで時間は変わらないんだろう?」「時間はどうやったら変えられるの?」
そんな疑問を残したまま、
「その答えは来週の実験で!」
という予告に、「えー!気になる!」「早く教えてよ!」と大盛り上がり。
道具を片付け、ノートをカバンにしまいながらも、まだ宇宙や振り子の話をしている子どもたち。
「来週、何やるか予想しようぜ」
そんな会話を楽しみながら、今日の理科実験教室は終わりました。